ギャラリーでの今年最後のイベントは、12月28日の山田みぞれのひとり読み
宮沢賢治の『貝の火』を読む第13回でした。
山田さんが『貝の火』を100回朗読すると宣言して、2016年の6月に、Vol.4 と Vol.5 をキッサで行っていただきましたが、今回は Vol.13。
今回はたかさん画伯による、貝の火のイメージ図がワールドプレミアで登場。
絵があるとさらに想像力を膨らみます。
うさぎの子のホモイが、ひばりの子を川から助けて、親からもらう『貝の火』という光る宝珠。その『貝の火』のもつ力によって、うさぎの家族と回りの動物達が巻き込まれてしまう。ホモイが主人公のように語られる物語ですが、ホモイの行動と貝の火の光には、繋がらないことばかり。
ネットでその解釈を探してみると、また面白いです。主人公はホモイではなく、父親なのでは、、川から救ったのはひばりの子ではないのでは、、などなど、どれも興味深いです。
最近の絵本や童話は子供が解りやすいように描かれているように思う。それに対して宮沢賢治の童話はどれも読むと子供向けだとは思えない。逆に、子どもは難しい話は理解できないという考えそのものが大人の傲慢さなのかもしれない。
物理学者のリチャード・ファインマンが大学1年生向けの物理講義をまとめた「ファインマン物理学」という名著があるのだけど、そこでファインマンが「私はクラスの中でいちばんよくできる学生を相手にして話すつもりで講義した」と言っていたのを思い出した。その本の内容は物理の基礎を教えているので、解りやすいようにみえて、本質的に深いことが書いてあるので、大学院生が読んでも難しいところが沢山出てきます。実際にファインマンの初等物理の講義に出ていたのは大学院生の方が多かったという話も聞く。
解りやすいように書くというのは本当は傲慢なことで、子供向けの童話であっても自分の持っている経験や知識を全てを使って書かないとだめなことは賢治は知っていたのでしょう。そう思うと解りやすい絵本が増えたのは、大人が幼児化しただけなのかもしれない。
山田みぞれさんの『貝の火』は100回読むことを宣言されて、始めた企画ですが、今回の最後に「200回読みます」と言って終えました。
山田みぞれの「なりふりかまわぬ朗読会」、まだまだ続きますので、ぜひまたご参加ください。
2018年は1月10日よりギャラリー営業を始めます。1月と2月は常設展で「PETE THE CAT」の絵や、常設作家さんの絵を展示します。
では、みなさん良いお年を。
gallery kissa 瀧本