2016.5.8 プーク人形劇 はだかの王様 ~ 大森暁生展 Jamais vu – 未視感 –

人形劇団プークの人形劇には何度も足を運びたいので、定期的に来ています。今年はは正月の公演につづいて2度目です。今回の演目はと「はだかの王様」でした。

プーク人形劇は、新宿にあるプーク人形劇場で観るのが一番好きです。

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この劇場の外観がいいですね。1971年に建てられた劇場で、今年が45周年だそうです。ファザードの彫刻は建設当時の劇団員が彫刻したものだそうで、現在、劇場内の階段アプローチに建設当時の写真が展示されていて、劇団員が彫刻している貴重な写真もありました。

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プーク人形劇場の席は自由席なので、開演30分前の開場時間には到着して、良い席を取るのがおすすめです。それから開演までは、コーヒープンクト(PUNKTO)でおいしいドリンクを飲むのも楽しみの一つ。

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「しちめんちょうおばさんのこどもたち」は早起きだ大好きで、ちょっとおせっかいやきな、しちめんちょうおばさんの心温まる話でした。人形のことりたちのかわいいこと。

はだかの王様は、だれでも知っているアンデルセンの童話ですが、改めて観てみると沢山の示唆に富んだ話ですね。まんまとだまされて、はだかになって町を自慢げに練り歩く王様が、無垢のために見たままを言葉にしてしまうこどもの「おうさまは、はだか」の一言で一転町中の笑いものになってしまう王様。子供のころ話を聞いたときは単に王様のことを笑って、現実ではありえない面白い話だと喜んでいるだけでしたが、今考えると世にあふれる広告やコピーにだまされて、ついつい自分がはだかの王様のようになっていないかとヒヤリとします。

上のチラシは、階段アプローチに展示されていた、初演当時のチラシだそうです。1947年5月、ちょうど69年前ですね。「カミの国変じてヤミの国となるー 人民の手で明るい日本をつくろう!」と人形劇プークのマスコット、プー吉くんが手にしている看板。今の日本に、まさに問われていることですね。そして今調べたら、1947年5月3日は日本国憲法が施行された日でした。戦前から幾度もの苦難を乗り越え今に続くプーク人形劇ですが、人形劇は子供たちに楽しんでもらうものであると同時に、子供を連れてきた親たちにもメッセージを伝えるためにあるのだと思います。

この演目は、6月まで続いていますので、ぜひ足を運んでみてください。

http://www.puk.jp/kouen.htm

新宿駅近くで45年も人形劇を守っているプーク人形劇場ですが、新宿駅は、つい先月「バスタ新宿」がオープンしたように、変わり続けている町でもあります。

プーク人形劇のあとは、バスタ新宿、新しくできた商業施設ニュウマン(NEWoMan)をチラ見してから、新宿の高島屋へ~

「大森暁生展 Jamais vu – 未視感 –」

彫刻家 大森暁生さんの展示へ足を運びました。

彫刻達からゾクゾクっと妖気が出ています。作家の大森さんも在廊されていて、お話もでき、うれしいことに撮影もOKでした。

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「彫刻から気配を感じるようにしている」という作家さんの言葉どおり、その佇まいから、明らかに生きものの気配を感じさせるものがあります。

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作品はもちろんですが、展示タイトルも気に入りました。jamais vuとは 【未視感:実際にはよく知っていることを初めて経験したように感じる体験】。例えば、、、毎日のように通る道に植わっている木の陰が、あるとき人影に見えてしまった体験などだそうで、良く言う、deja vu(デジャヴ)と対比する言葉だそうです。

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作品とタイトルが引き立てあっている展示というのは最高にいいですね。展示タイトルは、なんとなく後付けになっている展覧会が多いなか、展示タイトルが作品に必要なパズルの重要ピースのように光っています。

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実は、高島屋の美術画廊は初めて来たのですが、会場がまたいいです。デパート催事場の画廊は空間に色気がないところが多くて、会場に幻滅してしまうところが多いのですが、新宿高島屋の美術画廊は画廊としても気持ちのよい空間です。

新宿での展示は終わってしまいましたが、関西方面を循環したあと、8月にまた日本橋の高島屋に戻ってくるようです。今回のような大規模な個展は3年に一度だそうですので、まだの人はぜひ。

詳細な展示スケジュールは大森さんのホームページをご参照ください。

http://akioohmori.com/voice/jamais-vu/

会場で販売していた書籍、フォトエッセイ+作品集を購入。帯の言葉「彫刻家なんかで喰っていけんのかよ?」に惹かれました。

午前に人形劇、午後に彫刻展を見たのですが、美術とエンターテイメントと一件違うジャンルのようにも見えんすが、人形劇の人形に必要とされるものは、やはり「気配」であって、どの角度からみても人形が生きているように見えなくてはいけない、美術だと思います。はだかの王様の話ではないですが、こどもは正直なので、いかに人形が素晴らしいと力説しても言葉では騙されません。大人は綺麗なものにすぐ騙されてしまいますが、こどもの眼はもっと厳しいところを見ています。

大森さんは、gallery kissa でちょうど一年前に開催した彫刻家はしもとみおさんの展示「旅する彫刻」にも足をお運びいただいていたので、はしもとみおさんの話になったのですが、「上手に彫刻を造れる人は沢山いるけど、生きものの気配を感じる彫刻を造れる若い彫刻家では、はしもとみお以外知らない」と評価されていました。

大森暁生さんの彫刻とはしもとみおさんの彫刻、表現の仕方やアプローチは違うのですが、美術として共通する「何か」を感じた展覧会でした。